いまの地に移り住んで17年になる。ご近所の交差点には、洒落た風情のオフィスビルがある。だが、オシャレな佇まいとは裏腹に、上階のオフィスも数軒入る一階のショップも借主が落ち着かず、数年ごとに様変わりしている。最初1Fのテナントの理髪店にお世話になっていたが、数ヶ月で退去。ゆったりとした店内が心地よいものの、顔をあたられると切れていたりして、案の定お客が少なかった。その後、入店者は数年ごとに様変わり。一時はドコモショップが入り落ち着くかと思いきや、2年ほどで姿を消した。ビルの片隅にあった銀行のATMまでなくなってしまった。そのおかげで利用時はとなりの駅まで出かけなくてはならない。上階の賃貸オフィスも金の先物取引をする企業が入っていた。すぐさま問題を起こし黒いブラインドを始終締め切って営業をしていたが、いつのまにか姿を消した。唯一、コンビニだけは4、5年営業を続けているのだが、この店までなくなってしまうとビル自体が事故物件のように思えてくる。

つい先頃、NHKで放映していた《正直不動産》というドラマがある。不動産会社に勤める主人公は、あまりに正直であるが故に契約が成立しなかったり、意外とうまく運んだり。紆余曲折を繰り返しながらも上司や同僚の助けをえて、同業他社からの業務妨害に策を講じてゆく。ドラマのなかでは、事故物件の取り扱いの様子も描かれる。不動産業とは、土地や住居を介して莫大なお金を動かしているだけではない。地の利など環境の特性を見極める業態なのだなぁと、一本のドラマを通して、職業観をあらためたものである。

人のからだも建物とおなじことが云えるではないだろうか。最初から建物が万全で優れているとは限らない。あちらの不具合、こちらの故障に目を配りながら、自分のからだにつきあってゆく。環境にも配慮しながらからだに風を通してゆく。17年間、ひとつのビルを観察しながら、このビルにも爽やかな風が吹く日があることを期待したい。なにせご近所さんなのだから。

風水とからだ

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